屋上には誰もいないから、こんな時にはちょうどいい。 「……けど?」 隣から桃琴の心配そうな声が聞こえて空から目を移した。 それでも、ちょっと俯き加減で口を開いた。 「先輩が先に帰っちゃった……」 「……佐倉先輩が?」 「うん。一緒に帰ろうって言ってたのに……」 ───あのメールを見た後。 いくら待っても先輩は来なくて、靴箱を見たら上履きがあって。 先に帰っちゃったんだ、って。 それだけのことだけど……私にとっては辛かったんだ。