「ああ、またな」 背中を向けた瞬間、頭をポンポンと撫でられた。 その手が優しくて……少し時間が経ってから先輩を見れば、すでに歩きだしていた。 「先輩……」 先輩はいつもズルい。 こうやって私をドキドキさせるのが上手すぎるよ。 今日は一緒に帰れるんだ。 思わず小さく笑みをこぼして教室へ入った。 「鈴宮胡桃いるー?」 ───放課後。 げた箱へ急ごうと鞄を持った時、名前を呼ばれた。 今日はよく呼ばれる日だな……