「……へ…」 びっくりして周りを見回すと、体育館がある方向から誰かが走ってきていた。 まさか、私の幻聴かな…… 「……胡桃」 私の目の前まで来ると小さく微笑んだ───佐倉先輩。 幻聴なんかじゃなくて、ほんとに先輩がいる。 何で、先輩が私のところに? ───私、フラれるのかな…… 「胡桃には振り回されてばっかりだな」 覚悟を決めてギュッと目を瞑った時、先輩のどこか楽しそうな声が聞こえてきた。