「その、駅前まで一緒に行きたいです……」 だって“ゆっくり準備しろよ”ってまるで、自分は先に行くけど、って言われてるみたいで。 そんなの……イヤだから。 俯き加減で先輩の言葉を待っていると聞こえてきたのは、 ふ、とバカにしたような……どこか優しい声だった。 「当たり前だろ。先に行ったりしねぇから」 「でも、時間……!」 「待ち合わせが10時っつーのが早すぎんだよ」 桃琴、ごめん! せっかく決めてくれたけど、私には難しかったみたい…!