それは突然だった。 学校までの道のりを先輩と歩いていたら、綺麗な女の人が近付いてきた。 「恭汰ぁ~!」 その女の人は、甘ったるい色気のある声で先輩の名前を呼んでからギュッと正面から抱き付いた。 その時、思わず手を離してしまった。 先輩が女の人に抱き付かれた反動で離れた、と言った方が正しいかもしれないけど。 「里華(りか)?ちょっ離せよ!」 「照れちゃって、もう!」