「……早く乗れよ」 ボーッとしていた私の腕を先輩が引っ張って、私は前のめりになりながらエレベーターへ乗った。 「うわぁっ………へ!?」 前のめりになったせいで勢いよく壁にぶつかるかと思いきや、 私は佐倉先輩の腕の中に、優しく受けとめられた。 「ったく、危なっかしいやつ…」 「す、すいません……」 呆れた声が頭上から聞こえる。 ちょっとぶっきらぼうな言い方なのに、私を抱き締める腕は優しくてどうすればいいか分からない。