てのひらを、ぎゅっと。



「あ、そういえば………さ?あの噂…
知ってる?」


あ………。


「うん………。知ってるよ」

「大丈夫?心優……」

「うん!大丈夫だって!」


5月に入ると、ある噂がたち始めた。


……こうちゃんに、彼女ができたらしい。


女子サッカー部の1年生。


実際に目にしたことはないけど、すっごく可愛くてキレイな子なんだって。


まだ入学してから少ししかたってないのにさ、同級生や先輩からかなり人気なんだって。


「ねぇ梨帆」

「なぁに?」

「こうちゃん……」

「ん?」

「こうちゃん……幸せになれるかな…?」


自分で言ってて、すごく寂しくなった。


こうちゃんに、彼女。


可愛い彼女ができた。


こうちゃんを想っての別れだったのに。


幸せになってほしくての別れだったのに。


私を嫌いになってほしくて、忘れてほしくて。わざと傷つけるようなこと、たくさん言ったのに。


私……こんなにも傷ついてる。


「心優、ちょっと場所かえよ」


拭っても拭っても溢れてくる涙。


そんな私を見て、梨帆は私の手を引いた。


連れてこられたのは屋上。


でも、そこには先客がいた。