てのひらを、ぎゅっと。



俺の言葉に心優の母さんは、嫌な顔ひとつせず一回だけ頷いてくれた。


心優が亡くなってからの15年間の間も、
俺と心優の母さんは何度か顔を合わせていた。


心優の母さんの優しさは、何年たっても変わらない。


ずっとずっと心優がいた頃と変わらず、
俺を優しく家に迎え入れてくれるんだ。


「どうぞ」

「ありがとうございます」


用意してくれたスリッパを履くと、俺は家の中へと案内された。


きっと心優の母さんは、俺が心優に会いにきたことが分かったのだろう。


俺が案内された場所は、奥の部屋。


心優の仏壇の前だった。


仏壇の中央には笑顔の心優。


心優が笑ってる、そう思うだけで俺の心は満たされて、俺も自然と笑顔になれるんだ。


俺は自分のカバンから、昨日書いた便せんが納められているひとつの茶封筒を取り出し、心優の仏壇の上へ置いた。


そしてきちんと正座をして座り、両手を合わせて目を瞑る。