てのひらを、ぎゅっと。



リビングの扉を開くとその瞬間、おいしそうなカレーの匂いが俺の鼻に飛び込んできて、俺の胸をくすぐる。


「あ、おかえりなさい。今日も疲れてるでしょ?ご飯できてるよ!」


台所から顔を出した奥さんの明るい声が俺の耳に響いてくる。


「おとしゃん。きょう、かれーらいちゅだって!きこ、かれーしゅき!」

「そうだな、希心はカレーが大好きだもんな。ずっげー美味そう!」

「そう!お母さんのカレー、本当に美味いんだよ!」

「ははっ、だな!優希も母さんのカレー好きか?」

「うん!大好き!」


優希と希心と、どこにでもあるようなありきたりな会話を交わす。