てのひらを、ぎゅっと。



「あ、紫苑!待ってよー!」


紫苑の友達ふたりも慌てて紫苑の後を追うように、俺の横を走り抜けた。


“紫苑”


そう呼ばれていた、心優にそっくりな彼女を見ながら俺は自分に言い聞かせた。


彼女は心優じゃない。


彼女は心優の妹の紫苑、相川紫苑だ。


何度もそう自分に言い聞かせないと、俺はドキドキで頭がどうにかなりそうだったから。


結局今日一日中、俺の頭から心優の姿が消えることはなかった。