てのひらを、ぎゅっと。



彼女は心優ではない。


そう分かっているのに、俺の心はまたドキドキと音をたて始める。


「先生、こんにちは」


紫苑は俺に向かって、にこっと微笑みかけてくれた。


もちろん紫苑は俺のことなんてなんにも知らないから、俺は紫苑のこと知らないふりをする。


「こんにちは」


俺も紫苑に向かって微笑んだ。


すると、紫苑と一緒にいたふたりの女子生徒がきゃー!っと悲鳴をあげる。