てのひらを、ぎゅっと。



彼女もそれに気づいたのか、さっきより少し声のボリュームを落とす。


「心優先輩ですよね?」


そう問いかけられたから素直に頷く。


別に嘘つく必要もないしね。


「やっぱり………」

「え?」


こうちゃんの彼女さんは、何かに納得したような顔をして確かにそう呟いた。


やっぱりって、どういうことなのかな?


疑問に思ったけど………


「あ、あ、いや………すいません。気にしないでください………」


あまりにも彼女が必死に謝ってくるから、何も聞けなかった。


「私、女子サッカー部1年の、椎名希衣(しいなきい)です。よろしくお願いしますね、心優先輩」


あれ?


さっきも思った疑問が再び脳内によみがえる。


私の名前、何で知ってるんだろう?


………まあいっか。


同じ学校に通ってるんだから、名前くらい知ってても別におかしくないよね。


それより………希衣ちゃん、本当に完璧な子だな。


こりゃ、モテるのも当たり前だよな。


女の私から見ても隙がなく、可愛くてキレイで。


ひとつひとつの表情や仕草、それら全てに女の子特有の愛らしさを感じる。


私が男の子だったら、絶対好きになっちゃってたかも。


ってか絶対好きになってた。