「おーい!お前ら、そろそろ試合始まっぞー!」 「お、キャプテンが呼んでる。じゃあ俺、行ってきます!」 私はずっと目を瞑って俯いたままでいた。 でもこうちゃんが試合に行ったと分かったから、うっすらと目を開けてみる。 「大丈夫?」 それに気づいた梨帆が小声で聞いてくれたから、私はこくんと頷いた。 ピーーーーッ!! 試合開始のホイッスルが、夏のグラウンドに鳴り響く。 その瞬間、グラウンドの中心にあったサッカーボールがせわしなく動き始めた。