てのひらを、ぎゅっと。



「光希くん、試合頑張ってね?」


“希衣”と呼ばれたこうちゃんの彼女は、
こうちゃんに向かって両手を向ける。


「勝利のハイタッチ!」


そう言って、ふたりは”いぇーい“と手を叩き合った。


彼女を見つめるこうちゃんの瞳はすごく優しくて。


“ヒューヒュー”と周りの男の子たちがふたりを冷やかす。


私はこれ以上楽しそうに笑うふたりを見ていたくなくて、ぎゅっと目を瞑った。


それに気づいた梨帆が、私の背中を静かに撫でてくれる。