てのひらを、ぎゅっと。



「あ、大島くん!」


こうちゃんのもとへ梨帆が駆けていく。


私も慌てて後を追った。


「きてくれたんだ。さんきゅ!」


そう言って、汗でほんのり濡れた髪をかきあげながら笑うこうちゃんは、かっこよすぎて目のやり場に困る。


ドキドキが半端ない。


「じゃあ、こっちへどーぞ」


応援席へ案内してくれるこうちゃん。


テントが張ってて風通しもよく、真夏なのに涼しかった。


そこへ座っていると、同級生の男の子たちが私と梨帆に気づいては手を振ってくれる。


後輩はペコリと丁寧にお辞儀してくれる。


だからふたりで“がんばれー”って声をかける。


サッカー部だけに関わらず、私たちの中学は後輩が本当に礼儀正しいんだよね。


見ていてこっちも清々しくて、とてもいい気持ちになれる。


「んじゃ、ここで試合見ててな。俺、試合前の練習行ってきます!」


こうちゃんは暑く鋭い夏の日差しが照りつける、眩しいグラウンドに飛び出していった。