【完】俺が消えてしまう前に


俺はゆっくりとした足取りで公園近くの大きな廃墟ビルに入った。


階段をのぼり、
皆の顔を思い浮かべる。



ずっと遊び仲間で悪仲間だったあいつらの事も。

愛希を殺したのは許せない。
だけど、それを招いた理由は俺だ。


俺があいつらを見捨てて、自分だけ変わろうとしたから。


あの時俺があいつらを説得していれば、
あの時俺が止めれていれば、
何度そう思っただろう。




「・・・皆、全部俺が悪いんだよ。俺さえいなきゃ幸せになれんだろ」



逃げているだけだ。
最後の最後まで俺は汚い。






ビルの屋上に着いた俺は、街を見渡した。

まだ20年も生きてないけど、
未成年のままだけど、
結構波乱万丈だったよな。




「愛希、七星。そっち逝ったらもう一回謝らせてくれ」




俺は靴を脱いでから、屋上の端に上り空を見る。




「悪かった。本当に、ごめん」





たくさんの思いを胸に、


俺は飛び降りた。





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