「それから樹君はいつの間にか家を出ていってしまっていたそうよ」



・・・話を聞いて、事実を聞いて。
俺は唖然とした。


俺が、愛希と家族同様だった?

『いっちゃん』という呼び方も確かにそうだった。




「この事は口外するなと言われていたんだけど、もう黙っているのも疲れたわ。樹君がいなくなってからご両親は捜索願いまで出してたんだけど・・・結局取り下げて今ではまるで樹君なんていなかったかのように過ごしてる」




俺はいつ死んだんだ。
どうやって?

不良仲間に殺されたのか?
それとも事故・・・。
病気?



「樹君はねぇ。本当にいい子になっていたのに。・・・まぁでも今までの行いが悪かったのかしらねぇ」


「い、樹君は!!そんな人じゃ・・・ありません」



その人の言葉に七海は反論した。


「え?どうして・・・?貴女は別に樹君とは知り合いでもないでしょう?」


「あっ・・・。そうですけど。でも、なんとなく分かります」


「・・・なんだか、貴女に言われるとそう感じてくるから不思議ね。さぁ、もう時間も遅くなってきたし。帰りなさい?」


「・・・ありがとうございました」



七海は今度深くお辞儀をして、家を出た。

俺もその後をついて家を出た。



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