「樹さん、貴方何か思い出したの?」


「・・・え」


「雰囲気が変わった様に見えるわ」


「いや、別に・・・」


「隠さないで!貴方を救えるものだったらキーワードでもいい。教えなさい!」


「・・・」


「そうなの?樹君。だったら教えてほしいな。もちろん愛希ちゃんだって知りたいと思うよ?樹君を助けたいの」


「俺、俺は・・・」



こんな重要な事、絶対に黙っているべきじゃない。

だけど
もしも、本当の俺を否定されたら?


あの記憶が正しければ記憶をなくす前の俺は最低だ。


・・・俺の本当の姿だけは
皆には黙っていよう。

今の俺が本当の俺だ。
絶対にあんなの俺じゃない。


それでいい。

それでいいんだ。



「実は・・・愛希を助けようとした奴知ってるんだ」


三人はお互い驚いた顔をした。
だけどすぐに桃子は冷静になり、事情を聞いてきた。


俺は頭痛の事を話し、
さっきの記憶を全て話した。


もちろん過去の俺の事は触れずに。