【完】俺が消えてしまう前に



「・・・はぁ・・・はぁ」


「樹君?」


「・・・はぁ」


「樹君!大丈夫?」


目の前には"彼女"がいた。



なんだよ。
生きてるじゃん。

よかった。
心配させてんじゃねぇよ。


・・・トラックはどこだ?
あの女の子は。
周りの野次馬はどこ行った?


っつーかここ、どこだよ。





「樹君!!!!」


「うわっ!」


「よかった・・・。このまま成仏とかされちゃったら私たまったもんじゃないよ」


「・・・成仏?」


「う、うん。でも全然消えかかってもないし。大丈夫だよね?桜塚さん!」


「ええ。今のところそんな様子でもなさそうね。樹さん一体何が起きたのか説明できる?」






俺は今何を考えていた?
七海の事を誰と重ねた?


あの記憶と今がリンクしかけていたのか・・・?


愛希の死因を聞いたから?

まて。
思い出せ。

あの小さな女の子はどんな顔をしていた。



・・・思い出せ。



「いっちゃん?」
愛希が俺の顔を覗き込む。
そして、記憶の中で横たわっている小さな女の子は紛れもなく愛希だった。
俺の記憶がそう告げている。


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