もちろん俺の声が向こうに届くはずもない。

だから、通話をかけた状態にしておいた。
ケータイの向こうからは必死な声が聞こえる。


『もしもし!どうしましたか?もしもし!』




電話相手は異常に気付いたのか、
すぐにGPSで俺らの場所を特定させたらしい。


サイレンの音が大きくなったと思うと、
救急車が目の前で止まった。

救急隊員が倒れている七海を担架に乗せ、救急車で病院に運ぶ。


俺と愛希も一緒に乗り込み、
七海の辛そうな顔を見守る事しかできなかった。








病院内に入り、
俺と愛希は運ばれていく七海を見送った。


・・・必死に七海の無事を祈りながら。



**