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俺と七海は、
あの件があってから
一切俺が『幽霊』だという事を口にしなくなった。


空気を読んでなのか桃子もだ。


「帰ろうよももちゃん♪」


「あーごめんなさい。雄大さんと二人きりで帰るつもりなの。なっちゃんもなっちゃんで樹さんとラブラブ帰ったらいいわ」


「・・・そっかぁ!じゃあ行こう樹君!」


「うわっ!そんな腕引っ張んな!!」




七海が俺に触れられるっていうのにも慣れてきた。

桃子や他の奴らには触る事は出来ないんだけど。




「樹君クレープ買ってもいい?」


「いいけど?」


「樹君は何がいい?」


「お、俺?」


「もしかしたら食べられるかもしれないじゃん!挑戦してなかっただけで」


「・・・チョコバナナで」


「はぁーい♪」



七海は一人クレープ屋に向かった。

俺がその場で待つ事数分。



「お待たせ!」


そう言って七海は俺にチョコバナナクレープを差し出してきた。


俺は七海が差し出したクレープに一口かじりつく。



「・・・く、食えた」


「わぁ!本当!?でもかじったあととかないんだね」


七海はマジマジと俺の食べたクレープを見つめる。