七海はひっそりと学校の屋上で涙を流していた。


・・・涙よりも笑顔が見たいのに。
俺のせいで泣かせてしまった。



「七海」


「・・・あ!い、樹君・・・!」


「悪い」


「な、何が?あれ?除霊されてくるのかと思ったのに」



七海は必死に涙を拭きながら言う。


「・・・こんな状態のまま終わらせたくない」


「・・・樹君」


「七星の、事だよな?」




俺が七星の名前を出すと、七海は少しだけびくっと震えた。

そして再び大粒の涙を流し始める。




「樹君が、私を・・・好きって。それは・・・七星さん。お姉ちゃんの代わり・・・なんでしょ?」


七海は途切れ途切れに自分の思いを話してくれた。


「私は・・・樹君の、代わりなんていないのに・・・。樹君は、私を身代わりだって・・・思ってるんだよね?」


「・・・思ってない」


「だって、だって!!!一緒だもん。顔、同じだった!!!性格はもっと私よりちゃんとしてたかもしれない。でも、でもとにかく一緒だったから!樹君はその人が家族で、何よりも大事な人で。だから愛希ちゃんの家族を・・・っ許せなくて、でも!!」


「落ち着け!!!!」




俺の大きな声に七海は驚き、喋るのをやめた。


七海がなぜ七星の事を知ったのかは知らない。

だけど、こんな風に思わせてしまったのはしょうがない事だ。


俺のせいでもある。