七海にもう一度会いたい。

我儘なんてとっくの昔に分かってる。


だけど会いたいんだ。

七海の笑顔を見たい。



・・・それだけでもいい。

言葉はかわせなくてもいい。

一目会えるだけで。





「樹!!!!!」



いつの間にかロウソクの火が消えて、この部屋に元々あったであろう電気がついていた。



「・・・あれ?」


「あんたの覚悟はそんだけのもんだったっての?」


「え・・・?」


「どうやっても除霊できないんだよ。樹がこの世にとどまりたいって思う気持ちが強すぎて」




聖子さんは深いため息をついた。

そして用意してあった道具を片づけ始める。


「・・・あ、あのすいません。もう一回だけ・・・!」


「やらないよ」


「お願いだ!俺はもうこれ以上この世にいたら・・・!」


「ったく・・・。いい?除霊してる側だって相当力使うの。明日も仕事あるんだからこれ以上力をあんたに注いでも無駄なだけ。せいぜいこの世の心残りを解消したらまたあたしのとこに来れば?」


「心残りを解消しないで成仏できるのが除霊じゃないのかよ!」


「・・・あんたの場合は!!!!!想いが強すぎんの」



そう言って聖子さんは部屋を出て行った。