ソファでくつろぐその人は自分の名前を述べた。

「あたしは桜塚聖子。まだ体をもってた頃テレビとか見てたら知ってるかもしんないけど」


「・・・なんとなくしか」


「そっかぁざんねーん」


「ちょっとお母さん。もうちょっとそのだらしない喋りなんとかできないのかしら?」


「桃子ぉ・・・。久しぶりに会えたってのにそれはないわー」


「お母さん!」


「桃子こそ、その口調寒気がする。いい加減やめたら?」


「こ、これは・・・いいじゃない。私の自由なはずよ」


「はいはい。で、その幽霊君は桃子のゴースト彼氏なわけ?」


「違うにきまってるでしょ!?なんで私が幽霊なんかと・・・!」





分かってる。

分かってるけどやっぱり"幽霊なんか"と言われると、胸に何かが突き刺さる。




「・・・!い、樹さんごめんなさい」


自分の言葉に気付いたのか俺に謝る桃子。

俺は気にしてないと答えた。



「で、幽霊君のお名前は?」


「木戸樹っす」


「へぇ・・・。樹か。いい名前じゃん」


「え・・・ど、どうも」


「あんた変わった気をもってるねぇ」


「変わった気?」


「オーラっていうか、なんかそこらの幽霊とはなんか違うね」


「俺にはよく意味が分かりませんけど」


「ま、とにかく。そっち座んなさい」