「か、からかわれてるだけだと、思う」




自分で言っておきながら、悲しい。



矢沢くんは冗談のつもりでも、あたしは本気にしちゃうからやめてほしい




「じゃあ付き合ってないんだ?」




「え、う、うん?」




見上げると男の子がニコリと笑った




「ってことは、俺にもまだ希望はあるってわけだよね」




「え…?」




「これからよろしくね、鮎川」



こ、これからも?よくわからないけど……



差し出された手を、あたしは迷った挙げ句に遠慮がちに握った