「莉子ちゃん!」 男の子の前まで来たあたしを、焦ったような矢沢くんの声が呼び止めた ……え? 「……なに?」 振り向くと、困ったような矢沢くんの顔。 なんで、そんな顔をしてるの? 「いや、何でもない」 「……?」 それだけ言って、矢沢くんはあたしから視線を逸らした。 何でか聞こうと思ったのに。変な矢沢くん