『ねぇ、翔早。あたしのこと好き?』 『あぁ、好きだよ』 一週間前、俺は女の前で思っても いないことを平気で口にしていた。 男の“好き”は本当に好きなときと、 面倒なことから逃げるときの好きがある。 俺の好きはいつも後者で。 女はそのことに気づかずに、頬を染めるんだ。 家族を失って荒れていた俺は、 女遊びに走っていた。