「ねぇ、あなたが“鮎川莉子”?」 放課後、人通りが少なくなった校門を 出たところで名前を呼ばれて振り返ると、 どこかで見たことがある人が立っていた。 すぐにわかった。あ、この人………。 翔早くんの新恋人ってウワサの――……? 「今日はね、渡すものがあって来たの」 「え?」 あたしの答えを聞かずに、 女の人はあたしに言う。 渡すもの? それっていったい……。