甘いアイツのお気に入り





……茉莉が泣いてたから。




「翔早も、あたしを捨てるの……?」




「茉莉……」




「あたしには、翔早しかいないの」




茉莉の腕が俺の腰に回る。




……震えてる。わかってた。



茉莉が抱えてるものと
俺が抱えてるものがあまりにも似ていて。




俺達が肩を寄せ合わずには
いられなかったってことくらい。


それでも、俺はこの手を振り払わなければいけない。


大切な大切な人を守るために。