「…………て…哲?」
「……………」
なかなか離してくれない哲に、ちょっと不安になって、呼んでみれば哲は。
背中に添えていた手を、私の髪に突っ込み、顔を見ようと動かした私の頭を、押さえつけた。
どうしよう、と。
癖のように頭を掠めるけれど、大丈夫。大丈夫。大丈夫、と繰り返し思う自分もいて。
「…逃げ、る?」
俺が、触ったら。
俺が、好きだって言ったら。
「いいい…今!?」
「………」
やらた素っ頓狂な声を上げてしまったけれど、逃げはしない、と。
そう思った。
逃げるなら、きっと帰って来ていない。
きっとまだ、真ちゃんと一緒に居たはずだ。
そんなこと、哲だってわかってるはずで。
でも敢えて訊いたのは。
「……全部がいい」
私の、意思を。
確認してくれたんだと、思う。

