「…………………」
…哲の、匂い。
………やーべぇ…めちゃくちゃ間違えた気がする。
やっぱり、そっと入って謝れば良かった。
人間、無理は禁物よね。
無策も禁物。
ほら、会話にならない。
「き……きれいな飴…をね」
「………………」
な…なんで黙っ…
挫けそうじゃないかっ!
むしろ挫けたじゃないかぁっ!
後ろの方に、あーあー、と。
真ちゃんの苦笑する空気を感じたけれど、哲は固まったまま、じっと私を見つめていて。
不意に、苦しいほどに、抱き締められた。
「……ごめん」
なんで、謝るの。
哲の赤い髪が、頬に触れる。
耳元で、繰り返す哲の、声。
囁くような、呟くような。
浮かされたように、ごめん、と。
蜜、ごめんね、と。
やめてよ。
私、涙もろいんだから。
哲、悪くないのに。

