「哲!哲!見て!キャンディ買って貰った!」
いや、私、相当無理して、このテンション。
わざと哲の部屋に、飛び込んだ。
本当は、全身をきつく絞られたように、緊張してる。
怒られるのは仕方ないとして、ちゃんと、話をしなきゃならない。
ちゃんと、私の居場所を作らなきゃならない。
無くすのは嫌だけど、無いままでいるのは、もっと嫌だから。
どうせ無くすなら要らない、ではなく、大事にしたい。
だって。
ここに“居る”んだから。
「…蜜」
「ねぇ、ほら綺麗なんだよ!」
わざわざ、高価な靴ではなくて、色の綺麗な飴の詰まった、瓶を。
途中のパーキングエリアで買って貰った、フルーツキャンディを。
いっぱいいっぱいの緊張で、本当はちょっと吐きそうだったけど。
立ち上がりかけていた哲に見せながら、思い切り。
正面から、押し倒さんばかりに、飛び付いた。

