「忘れないでョ?」
ちょっと道に迷ったハプニングがあったけれど、日付の変わる前に送り届けてくれた真ちゃんは。
ちゃんと服を着て、もう一度着た真ちゃんのジャケットを脱ぎ、靴も、ありがとう、なんか、色々ありがとう、と言った私の頭を撫でて、そう言った。
「……上手く行かなかったら、俺がいるから」
「…………うん」
真ちゃんはいつもふざけるけれど。
ちょっと本気で、言っている気がして。
私が多分、一番忘れなきゃいけないことのような、気もした。
「しょーがねぇなあ、哲に殴られて来るかあ」
小さく頷いた私に、一度、くしゃりと笑みを見せた真ちゃんは。
「ビビって逃げんじゃねぇぞ?」
と。
いつもの、真ちゃんらしい、意味深な顔で、囁いた。

