「…………馬鹿だ馬鹿だとは思ってたけど」
真ちゃんは、私の胸から手を離さない。
私はそんな真ちゃんが、薄闇の中で、やっぱりしていい?場所変えるから、と。
僅かに本気の色を乗せた声で囁いた事に、初めて驚いた。
真ちゃんは最初から“男”だった。
常に男の匂いをさせていて。
だけど、それは本気で私に向けられた事はない。
と、思う。
とっかえひっかえ、彼女がいて。
だけど、好きだとか、聞いたことはなくて。
いつも攻めているようで、実は受け身な、真ちゃん。
この前の彼女は?って訊くと、必ず。
振られたよ、って笑うんだ。
「…駄目」
多分、真ちゃんと寝ても、真ちゃんは真ちゃんのままだと思う。
気まずくなったりしないで、時々堂々と下ネタを炸裂させて。
笑ってるんだと思う。
でも。
でもね。
それでも哲は、居なくなっちゃう気がするんだ。
真ちゃんが笑っていても、哲が無くなっちゃうんじゃ、私。
笑えないよ。

