「……哲、私のこと呼んでた」
「手遅れだろ?」
「哲、私を無くしたの?」
私が哲を無くしたように?
車の、後部座席。
倒し気味にしたシート。
真ちゃんが私の上にいるのが、すごく不思議だった。
始終楽しそうだった真ちゃんの顔が、暗くて見えない。
誘導するように肌を滑る、熱い手と。
少し深くなったキスに、私の体は反応する。
「……蜜」
呼ばれた声に、びくりと。
我に返った。
「ちょっ……やだ…!駄目!」
腕を突っ張って顔を背けるも、真ちゃんの体は離れない。
「駄目っ…」
「…なんでょ。蜜は断らない事で有名だったじゃないか?」
蜜が、ギタリストに連れて行かれるの、よく見たけど?
なんであいつ等が良くて、俺は駄目なのョ?
「哲が抱え込まなかったら、今でも同じだったろうに」
真ちゃんの声は、私を抉る。

