「そりゃあ蜜が抵抗するから」
「…私のせい!?」
それでも、ヒーターの温度を上げてくれた真ちゃんは、後ろに俺のコートあるから、くるまってたら?って。
あっさりと、後部座席を親指で指した。
「…………重たっ」
「本革だし」
「…ちくしょう金持ちめ」
もぞもぞと、真ちゃんのコートを引っ張り、膝に掛ける。
足先も寒いから、シートの上で、膝を抱えた。
こうすれば、肩から足先まで、暖かいに違いない。
………ちょっと真ちゃんの匂いがするけどね。
「遊園地、水族館、植物園、庭園、ゲーセン、美術館」
どの辺りがいい?
と、帰してくれる気はさらさら無いのだろう。
真ちゃんは大通りを、ただ真っ直ぐ走りながら、まず靴屋だな、と。
鳴りだした私の携帯を、ぷちりと切った。

