「………はぁ…」
しゃがみこんだ頭上の遥か上から、ため息が聞こえた。
「我慢…しなきゃ良かった」
必死で耐えた結果がコレかぁ、って。
耐えても耐えなくても同じなら、我慢しなきゃ良かったよ。
いくらだってヤれたのに。
……って。
…なんで、そんな事、言うの…。どうして、そんな事。
私、どうしたら“哲”を無くさずに済…
「……もう、無く……した?」
私、無くした?
無くしてた?
私は、ぼんやりと目を開けて、哲の襟元から覗く、シルバーのチェーンを、見た。
あれの先には、ドッグタグが付いていて。
月のお給料の、4分の1の、値段だった。
去年の、哲の誕生日に。
私が買ったもの。
「……哲、私、無くしたの?」
「…何を」
「ドッグタグ、付いてるのに…私の分、は?」
ぽろぽろと。
顎を伝って、涙が。
ぺたりと座り込んだ膝の、その間についた手に、落ちた。

