朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~



「………………」


熱いお湯をガラスのポットに注ぎ、乾燥したカモミールと、ミントを放り込んで、色の出るのを待つ間。

すぐ隣に立った哲が、僅かに。

眉間にしわを寄せた。



哲が真っ直ぐに立つと、私の視線はちょうど、胸の蝶の辺り。

今はカーキ色のパーカーの、紐しか見えない。

いや、見ていない。
それ以上、上は、見れない。


眉間のしわが、一気に私の視線を下げさせたから。




「……蜜」


大きくため息をついた哲は、ちゃんと上向け、と。

後ずさりしそうだった私の、頭に右手を置いた。



「……………っ…」


奇妙な息が漏れてしまった。

吸い込んだのか、吐き出したのか、自分でも解らない。

ただ頭の中は沸騰したまま凍り付いたように、固まっていて。



捕まった。

と。

逃げられない、と。



まるで音の狭間に落ち込んだように、身動きが、取れなくなった。