「…俺の分、いくつあんの?」
「ひっ…」
哲が。
いつの間にか、上がり込んで、顔を覗かせていた。
手に持ったクッキングシートを、箱ごと取り落とした私に、哲は。
小さく舌打ち、した。
「…………そんなに、怖い?」
「やっ……だって急に声掛けられたらびっくり…す………」
おろおろと、落とした箱を拾い上げ、きちんと靴下を履けている哲の足先が、ちらりと視界に入る。
否が応にも、高まる緊張。
………でも…待って…?
“怖い?”ってどういう意味?
私は別に、哲が怖い訳じゃない。
哲が、無くなっちゃうのが怖いだけだ。
……結果的に……哲が怖い、って事になるのかも知れないけど。
「哲…は、いくつ…食べる?」
「全部」
「…」
「全部」
に…二度も言わなくていいけど…。
…どう、したのかな……別に…すごく好物なわけでも…ないのに…。

