結局、楽器が可哀想ですよ、と言う言葉に、想像力を掻き立てられた。
夜な夜な、蜜サンのトランペット、泣いちゃいますよ、なんて。
有り得ないけど、そんな気もしてきたんだから、私も相当に単純なんだろうと思う。
「…ほんとに団長、そばにいてくれます?」
「もちろん。高崎と不意に2人にならないよう、常に」
「遼と話すときも…?」
「彼のためにも、そうします」
にこりと笑った団長は、私が楽団に戻る気があることを、確信したんだと思う。
今度は確実にわざとらしく。
「片時も離れないと、約束します」
と。
こんな風に奥さんを口説いたんだろうか、と思わせるような笑顔で言うと、立ち上がった。
「ひとまずは、木下サンを送っていかなければね」
あぁっ……雪音ちゃん!
外に出したまんまだったー!!
ごめんね!寒いよね!

