どうしてだろう。
真ちゃんがあの距離にいても、無くなる気はしなかった。
真ちゃんは最初から“男”だ。
出会った頃から、とっかえひっかえ彼女がいたせいか、どこかで“男”だと思っていたから?
「蜜、電気消すよ」
薬を飲んで、布団に放り込まれた。
妙に静かに打つ鼓動は、別に冷静な訳では、ない。
どうしよう。
「何かあったら、電話」
「…うん」
哲は、表情を和らげて、おやすみ、と。
真ちゃんの襟首を掴んで、引きずるように。
部屋を出て行った。
電気が消される瞬間に。
真ちゃんが。
唇に人差し指を当てて、しー、って。
ちょっと唇が触れちゃった事は内緒、とばかりに。
にっ、と。
…どうしよう。
私………
真ちゃんとキスしちゃったよ!?
哲が殴ったりするから!

