朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~



ごっ、って。
おでこに衝撃が走った。

真ちゃんの後頭部を、哲が何かで殴ったんだと思う。


真ちゃんのおでこが私にくっついていたわけだから、その衝撃は、ダイレクトに私を襲った。



「……………い…」

痛い、とすら、言えなかった。

笑いながら離れた真ちゃんが、冗談だよ~、と哲を振り返る。

哲は、私をも睨みつけると、右手に握った薬の瓶を、放って寄越した。




「隙だらけにも程がある」


い…今のは“隙”か!?
つーか薬瓶で殴ったのか!?

私ですら、おでこ痛いよ!?
真ちゃんの後頭部、陥没してない!?



「蜜」


結構な痛さの額をさすりつつ、私はおとなしく、頷いた。



「も…もう、寝る。ちょっと具合悪いかも」


そういう風に言えば、これ以上は怒らないだろうと思って。



私は妙に冷静に、いろんな事を遮断し、いろんな事を、考えた。