「…蜜?」
「……ん」
お風呂を終えて、髪を乾かした。
新しい湿布を貼り付けて、細身のブーツカットのジーンズを。
ごはんを食べに行くだけなら、別にメイクも要らないよね。
普段あんまりしてないんだし。
レースの重なるキャミソールに白いシャツを羽織って、茶色いレザージャケット。
そこまで支度をして。
何となく、寒気と眩暈がした…のは確かだったけど、哲と真ちゃん待ってるし、と。
そのまま、外に出た。
ちょっとふらついたけど。
「…熱……あるか?」
「………ない」
よく行く小料理屋で、金目鯛の煮付けをつつき回しているだけだった私を不審に思ったのか、哲はそう言うと、ためらいなく額に掌を当てた。
ないって言ったのに!
「…………ちッ」
……しかも舌打ち!?

