朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~



「真ちゃんごめんね、遅くなっちゃって、何にも作れなくて」


私は、かっぱえびせんを咥えた真ちゃんを振り返る。


「ああ、全然いいよ。哲は怪我してるし蜜は湿布だらけだし」


真ちゃんは立ち上がって、重たそうな紙袋を持ち上げ、唇の端を上げた。


「約束のミカン。さっき取ったばっかりだから」


私の部屋まで運んでくれるつもりなのか、さっさと靴を履いた真ちゃんは、ドアを開けて外に出てからふと、私を振り返った。




「…………なぁ、蜜」

「…なに?」

「……」



奇妙な間で訪れた沈黙に、なんだか叱られているような、そんな気がして、私はそわそわと視線を泳がせた。




「……怖かった時くらい、メール寄越せよ」


「……………」



…ああ……ごめん。

単に、心配かけると思っただけだよ。
頼りにならないって、思ったわけじゃないからね?

そんな真面目な顔、しないで?