朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~



仕事を終えて、まずお風呂。

哲はまだ包帯を濡らせないから、ビニールの手袋を被せる。

その為に哲の部屋に行き、哲が服を脱ぐ間に、真ちゃんが声を掛けた。



「それ、完全切断?」

「…うん」



指は、軍手の中に、あった。

どこか繋がっていたわけではなくて、完全に、切り離されていた。



「ふぅん…まあ、良かったな、形だけでも繋がって」


真ちゃんは、怖かったろ蜜、って。

眉を寄せて、小さく笑った。


哲は別に怒っているわけではないんだけれど、黙ったまま。

私がビニール手袋を被せる間、じっとしていた。




「蜜、風呂終わったら、外行く格好しといで」

「ごはん?」

「ん。ショートパンツ禁止な」

「…………」


あまり表情を変えなかった哲は、じゃあ後で、と。

巻いていたタオルを取ってバラバラになった赤い髪を、掻き上げた。