箱詰めが終わって、温めていた抹茶オレを、軍手のまま取り出した。
素手で触ったら、とても熱いし。
「蜜」
低い椅子に、足を投げ出して座った私の口元に、小さなオレンジ色の丸い…金柑?
「もう真也、ウチにいたわ」
「早っ」
包帯を止める金具が折れたとかで、部屋に取りに帰っていた哲が、苦笑した。
そういえば、真ちゃんちの庭には、金柑と柚子と“なんか夏蜜柑みたいなヤツ”がなるって言ってたっけ。
持ってきてくれたのかな。
「真ちゃん、お腹すいたかなあ」
私はあてがわれた金柑を、皮ごと食べる。
酸味はほとんど無くて、完熟してる。
なにも手を加えないで、このまま食べるのが一番いいかも知れない。
「かっぱえびせん、与えてきたから、しばらく持つだろ」
哲…それ…
真ちゃんの……寂しい絵しか浮かばないよ…
早く終わらせて、一緒に帰って、なんか作ってあげようよ…。

