「…蜜、乾いたシャツ取って来て」

「うわ…っ…なんで脱…」



哲の胸には、蝶がいる。
綺麗な、紫色の蝶。

赤い髪、紫の蝶、銀のピアス。

程よい筋肉の上半身。



だけど。

……あれ?
何か、どこか、違うような…?



「…や、何故か頭上からシャワーが」

ずぶ濡れたし、ついでだからシャンプー貸して。



ポタポタと髪の先から雫を落とす哲が、これも洗っといて、と今まで着ていたカーキ色のパーカーと黒のシャツを、ぺちゃりと床に放り投げた。


まじまじと、哲の蝶を見ようとそばに寄れば、慣れたもので哲も動きを止めてくれる。



「…なに」

「…哲……なんか違う…」


「……ああ、これじゃない?」


指さされたのは、おへそ。

銀色の、小さな粒が、光っていた。