「蜜は俺が…ッ…」
哲を跳ね除けるように身を起こした遼が、私をも睨みつける。
俺、が?
その後に、何て言うつもりだったのか解らないけれど、吐き出すように叫んだ遼の目と。
哲の、私を見ない横顔。
真冬の冷たい空気だけのせいじゃなく、私は震えるしかできなくて。
哲の。
「てめぇにだけは、やれねぇんだよッ!!」
低いけれどハッキリと聞こえたそれと。
どんだけ苦しめてるか解ってんのか!
どんだけ泣かせたか気付きもしねぇのか!
蜜は!!
俺が、…好きなんだから。
ひゅっ、と。
私の喉に、冷たい空気が流れ込んで。
全身の…血が凍ったような、気が、した。

