「これから洗濯する。哲のもする?」


沈黙…いーち、にー…


三秒見つめ合ってから、哲は頷いた。



一体何を思案した三秒だろう。

見つめ合う三秒って、意外と長い。




「じゃあ…俺風呂掃除してやるわ」


ああ、自分は何をしようか思案したのかな?


「あ、お風呂の洗剤ないよ」

「まだ買ってないのか」

「私、シャンプーで洗ってた」


えへ、とわざとらしく笑えば、哲はいつも苦笑する。

この顔、嫌いじゃない。
嫌いじゃないけど、ちょっと子供扱いされている気がする。




哲の唇のピアスが、たまに非現実的にキラキラと。


ふいに思い出した、昨夜のギタリストの唇の感触に、ざわりと、血の気が引いた。


丸い、ローズマリーのパンは、哲が三つ、私が一つ。

哲は、よく食べてくれるから、少し嬉しい。


また、作ろう。