「…も、大丈夫」
「そう?」
哲の赤い髪は、寝起きのまま。
毛先が跳ねている。
きっと私の髪も、そう。
私の髪は長いから、きっともつれてくしゃくしゃだろうと思う。
そのくしゃくしゃを撫でたんだから、それはもう酷い有り様だろう。
…まあ、別に恥じる事も無いんだけど。
毎朝の事だし。
私はとにかく起きられない。
早起きしても、正しい起床時間には必ず二度寝真っ盛りだ。
ここに越してきて一週間経った頃、哲はげんなりと言ったもんだ…。
『蜜…、目覚まし何個あって、何回鳴るんだ…?』
一回目が早すぎる。
あれじゃ二度寝は当たり前。
二時間近くも、10分置きに鳴らさないでくれ、と。
それから、合い鍵を寄越せ、と。
以来二年間。
私を起こすのは、哲の役目。

